東京地方裁判所 平成3年(特わ)806号 判決 1992年10月06日
本籍
東京都港区東麻布一丁目一四番
住居
同都同区東麻布一丁目一四番六号東麻布ハウス一〇二
元会社役員
榊原憲久
昭和二三年一一月一三日生
本籍
東京都港区六本木六丁目一番
住居
同都目黒区平町二丁目四番一四号
元会計士補
茂字井政雄
昭和二六年八月二一日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官立澤正人、被告人榊原の弁護人高野康彦、早水暢哉、被告人茂字井の弁護人青木達典、河東宗文各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人榊原憲久を懲役二年八月に、被告人茂字井政雄を懲役一年二月にそれぞれ処する。
被告人榊原に対し、未決勾留日数中四二〇日をその刑に算入する。
被告人茂字井に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人茂字井の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
大港建設工業株式会社は、東京都港区麻布一〇番一丁目七番三号(昭和六二年八月六日以前は同都同区東麻布一丁目一四番六-一〇一号)に本店を置き、土木工事及び不動産の売買等を目的とする資本金三二〇〇万円(昭和六一年一二月二三日以前は八〇〇万円)の会社であって、被告人榊原は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたもの、被告人茂字井政雄は、会計士補としての業務を行っていたものであるが、被告人両名は、共謀の上、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、不動産の売上の一部を除外し、架空の仲介手数料を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、昭和六一年五月一日から同六二年四月三〇日までの事業年度における同会社の実際所得金額が一五億四七七九万九九四八円、課税土地譲渡利益金額が二五億五七六七万二〇〇〇円(別紙1の修正損益計算書参照)であっのにかかわらず、確定申告書提出期限の延長処分による申告書提出期限内である同六二年七月三一日、東京都港区西麻布三丁目三番五号所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五億五五二九万九五一〇円、課税土地譲渡利益金額が一五億七六四七万三〇〇〇円であり、これに対する法人税額が五億四二二七万六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成三年押第七一四号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一一億五五三六万四〇〇円と右申告税額との差額六億一三〇八万九八〇〇円(別紙2の脱税額計算書参照)を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人榊原憲久の当公判廷における供述
一 被告人茂字井政雄の当公判廷における供述
一 第五回及び第六回公判調書中の被告人榊原憲久の各供述部分
一 第七回ないし第九回公判調書中の被告人茂字井政雄の各供述部分
一 被告人榊原憲久の検察官に対する平成三年四月一二日付(本文一〇枚綴りのもの)、同月一三日付(但し、被告人茂字井の関係では、三丁表二行目から同九行目まで、三丁表一二行目「私は、」の次から同行「妻の裕子に」の前まで、三丁裏九行目「があったり、」の次から同一〇行目「メックを」の前まで、四丁表五行目を除く。)、同月二一日付(但し、被告人茂字井の関係では、一三丁裏一〇行目(お話しますが、」の次から同一一行目「左門町の」の前までを除く。)、同月二四日付(但し、被告人茂字井の関係では、一丁裏四行目「たため、」の次から同五行目まで、二丁裏七行目から四丁表九行目まで、四丁表一〇行目「ダミーは、」の次から同一一行目「メックと」の前まで、四丁裏四行目から同一〇行目まで、五丁表一一行目「このようにして、」の次から同行「左」の前まで、一二丁裏一二行目「いて、」の次から同行末尾まで、一三丁表三行目冒頭から同行「支払った」の前まで、一三丁表九行目「土田、」の次から同行「野中」の前まで、一八丁表五行目「なったのですが、」の次から同七行目「A社から」の前まで、一八丁裏三行目「そこで」の次から同四行目「架空手数料の」の前まで、二一丁表一一行目及び同一二行目、二一丁裏四行目から二二丁表七行目までを除く。)、同月二五日付、同月二八日付各供述調書
一 被告人茂字井政雄の検察官に対する平成三年四月一二日付、同月一三日付、同月二〇日付(被告人榊原の関係では、一〇丁裏六行目から一一丁表二行目までを除く。)、同月二五日付各供述調書
一 第三回及び第四回公判調書中の証人榊原裕子の各供述部分
一 第一〇回公判調書中の証人土田稔の供述部分
一 榊原裕子(但し、被告人榊原の関係では、三三丁表二行目から同一〇行目まで、三六丁裏一行目から本文末尾までを除き、被告人茂字井の関係では、三丁表六行目から同一〇行目まで、六丁裏七行目から同一一行目まで、八丁裏二行目「手数料として」の次から同三行目まで、一三丁表四行目「主人が、」の次から同行「契約実行」の前まで、一七丁表七行目から同丁裏一行目「大港建設」の前まで、一七丁裏六行目から一八丁表五行目まで、二二丁裏五行目「ですが、」の次から同六行目まで、二三丁表三行目を除く。)、三條直義(被告人榊原の関係では、四丁裏九行目から本文末尾を除く。)、五十嵐邦夫、村井忠男、金子新、白石晃一(但し、被告人茂字井の関係では、二丁裏九行目から同一二行目「榊原社長に言われて」の前まで、三丁裏七行目から四丁表五行目まで、四丁裏一二行目から五丁表二行目まで、八丁裏十二行目から九丁表五行目までを除く。)石渡道明(但し、被告人榊原の関係では、一丁裏一〇行目から二丁表二行目まで、七丁表一〇行目から同一二行目までを除き、被告人茂字井の関係では、二丁裏九行目「と言い出し、」の次から同一二行目まで、三丁裏六行目及び同七行目を除く。)、深川一郎・木村高春こと朴魯昱、土田稔(二通。但し、平成三年三月二八日付については、被告人茂字井の関係では三丁表一〇行目「と言ってきたことから」の次から本文末尾までを除く。平成四年二月一三日付については、被告人榊原についてのみ。)の検察官に対する各供述調書
一 検察事務官作成の捜査報告書(五通)
一 大蔵事務官作成の不動産売上調査書、土地仕入調査書、不動産営業費用調査書、福利厚生費調査書、家賃地代調査書、減価償却費調査書、文具費調査書、支払手数料調査書、租税公課調査書、交際接待費調査書、雑費調査書、謝礼金調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、支払利息調査書、土地の譲渡等に係る譲渡利益金額調査書、領置てん末書
一 登記官作成の商業登記簿謄本
一 押収してある大港建設工業株式会社の昭和六二年四月期の法人税確定申告書一袋(平成三年押第七一四号の1)
(争点に対する判断)
一 被告人茂字井の罪責
被告人茂字井の弁護人は、本件脱税に関して被告人茂字井は、その脱税のための工作に一部関与したことはあるものの、被告人榊原と事前に共謀したことはないので、せいぜい幇助犯の責任を問われるに過ぎないと主張する。
そこで検討すると、被告人両名及び証人榊原裕子、同土田稔の公判廷供述や公判調書中の各供述部分及び検察官に対する各供述調書等の関係各証拠によれば、次の事実が認められる。
大港建設工業株式会社(以下、大港建設という。)では、買収を進めていた東京都新宿区左門町所在の不動産についてその転売先を探していたところ、大港建設の願問司法書士である石渡道明やその同業者の土田稔らを通してその転売先探しの話を伝え聞いた被告人茂字井は、知人を介して知った株式会社三條(以下、三條という。)を売却先として紹介し、結局、昭和六一年七月ころ、大港建設は右左門町所在の不動産を三條とその関係会社の中興商事株式会社(以下、中興商事という。)に売却することになった(以下、大港建設と三條、中興商事との間の左門町所在の不動産の取引を、本件取引という。)。
被告人榊原は、大港建設が本件取引により多額の利益を得るものの、そのため多額の税金を支払うのが惜しくなり、利益を隠して税金をごまかし、それを裏金として留保して会社の運営に余裕を持たせようと考え、税金を免れる方法について思案し、石渡に相談するなどしていたところ、石渡と土田から公認会計士と称する被告人茂字井を紹介された。
被告人榊原の脱税の意図を知った被告人茂字井は、被告人榊原、石渡、土田らを前にして、脱税工作の概要とする金額等を記載したチャートを示しながら、大港建設と三條及び中興商事との間に、それぞれ本件取引には関与していない会社をいわゆるダミーとして形式的に売買当事者として介在させて、大港建設の得る売却代金を少なく見せ掛けて売上の一部を除外し、さらに大港建設と右のダミー会社においてそれぞれ架空の手数料等を計上することにより、利益を隠匿して税金を免れる方法を説明し、被告人榊原はその方法を採用することとした。そして、中間に介在させる会社として、被告人榊原が都市企画設計株式会社(以下、都市企画という。)を用意し、被告人茂字井は自己が実質的な経営者となっているメック株式会社(以下、メックという。)を提供することとし、架空手数料計上のための架空領収書については、被告人茂字井が面識のあるB勘屋に用意させることになった。その後被告人茂字井の世話しようとしたB勘屋の手数料が高すぎるということになったため、土田が代わりに用意することとなった。
昭和六一年八月八日、大港建設と三條及び中興商事との間で不動産の売買契約が交され、代金の約八割り四八億円は大港建設が受取ったが、契約書としては、ダミーの会社を当事者とする架空の売買契約が作成され、また、架空の手数料支払いを偽装するB勘屋発行の領収書が用意されて、大港建設に渡され、さらに、ダミーであるメックや都市企画に売買差益の入金があったように見せ掛けるため、大港建設でメックや都市企画名義の預金口座を作り、相応の金額を振り込んだ。(ただ、振り込まれた金員は、直ちに被告人榊原によって引き出されている。)本件取引を三條側につないでくれた被告人茂字井ら四名に対しては、仲介手数料として一億六〇〇〇万円が支払われた。
大港建設では、経理を担当していた被告人榊原の妻の榊原裕子が、被告人茂字井の発案した方法に従って架空の契約書や領収書に基づき経理操作をして所得を秘匿しようとしたが、架空領収書の金額と預金口座からの出金状況が合わないことなどが判明したため、被告人茂字井が示していた秘匿金額を改めて、所得秘匿のための作業を行った。この手直し作業において、資金の流れの上でダミーとなったメックの預金口座に留保されていなければつじつまが合わなくなる金額が出てきたため、榊原裕子は、先に大港建設で作ったメック名義の預金口座に七三〇〇万円を預け入れた。その後、その預金口座の七三〇〇万は、同年九月中旬ころ榊原裕子から通帳が渡されることによってメックに交付された。
ところが、同年秋から年末ころにかけて被告人茂字井から突如として、本件取引にダミーとして介在したメックに多大の利益が出ている形となり、それに見合う税金が払えないから、メックを本件取引からはずしてくれと申し入れがあり、大港建設では、今更被告人茂字井に脱税計画から降りられては収拾がつかなくなるため、榊原裕子と大港建設の社員松下強が中心となって、大港建設とメック間、メックと都市企画間の各不動産売買価格を変更して、メックに落としたことにする利益を減らすこととして、これに見合う架空の売買契約書を作り直したり、B勘業者に架空領収書を発行し直してもらうなどして経理操作をして、ダミー会社に落とす利益金額等は変えたものの、当初被告人茂字井が発案した方法にのっとり脱税のための工作を行い、被告人茂字井も最終的にその不正工作の内容を了解した。大港建設では、右の不正工作に基づいて本件虚偽過少申告をし、メックにおいてもその不正工作に見合った内容の経理処理をした。
以上の事実関係によれば、被告人茂字井は、被告人榊原に脱税のための方法を教示して、同被告人との間で本件脱税に関する共謀を遂げ、その上所得秘匿のための工作にも関与していることは明らかであるから、本件脱税について共同正犯としての責任を免れない。
右認定に反する被告人茂字井の公判廷における供述は、その内容が曖昧であったり、不自然、不合理な点が少なくなく、たやすく信用できず、右認定を覆すに足りない。
二 脱税額について
1 被告人榊原の弁護人は、大港建設からメックに交付された七四八一万一八三一円は損金に算入されるべきであるとして、本件脱税額を争う(なお、大港建設からメックに振り込まれたのは七三〇〇万円であるが、これに預金利息が生じたため七四八一万一八三一円となる。)
しかし、大港建設の経理事務を行っていた榊原裕子によったメック名義の預金口座に七三〇〇万円が振り込まれたこと、その振り込まれた経緯は、本件取引に関連して所得秘匿工作を行うに当たり、ダミーであるメック名義で設けられた預金口座における本件取引に絡む金員の出入りとB勘屋から入手した架空領収書類との不整合があったため、それを符合させるためであったこと、振り込まれた預金口座の通帳を交付するという形でその七三〇〇万円と利息一八一万一八三一円が、その後被告人茂字井が実質的な経営者を務めるメックに渡されことは、前記のとおりであり、右七三〇〇万円とその利息がメックに渡された由来は、本件不動産の売却話を三條につないでくれた仲介に対する仲介手数料として、被告人茂字井には既に四〇〇〇万円(四人分一億六〇〇〇万円を四等分したもの)が支払われているが、それ以外に、被告人茂字井が本件脱税の方法を教示してくれ、ダミーとしてメックを提供してくれるなど、脱税工作に少なからず協力してくれていることから、それらに対する見返りがあっても当然との意識が、被告人榊原を含めた大港建設側と被告人茂字井側にあったためであり、七三〇〇万円という金額の授受は特に互いに明示することはなかったものの、そうした意識の下に行われたものと認められること、そしてメックでは、受け取った七三〇〇万円とそれに対する利息一八一万一八三一円が、被告人茂字井によって同社の用途に費消されあるいは被告人茂字井の個人的用途に回されていること、がそれぞれ認められるのである。そうすると、右七三〇〇万円とその利息一八一万一八三一円は、被告人茂字井の脱税工作に対する協力への報酬として、大港建設から交付されたといえるのであるから、大港建設が事業を遂行するに当たって通常かつ必要な経費とはいえず、損金に算入すべきものではない(なお、この点において、弁護人がいうように当事者が特に違法な支出との認識を要するものではない。)。
2 次に、被告人榊原の弁護人は、メックが本件取引に形式上介在したため、自らの売上として申告し納税している分があるが、メックを大港建設のダミーとみなす以上、メックの申告納税行為は、大港建設による申告納税とみるべきであるから、右メックの納税額分を本件脱税額から差し引くべきである、と主張する。
しかし、申告納税制度のもとにおいて、納税義務者が第三者名義でその納税申告をすることは、納税申告の性格に照らし法の全く予定していないことであって、第三者名義での納税申告が納税義務者の納税申告としての効果を発生させることはないと解されるので(最高裁昭和四六年三月三〇日第三小法定判決刑集二五巻第二号三五九頁参照)、本件でのメックによる納税申告・納付行為は、大港建設のそれとみることはできず、弁護人の右主張は理由がない。
3 したがって、本件脱税額は、検察官主張のとおりと認める。
(法令の適用)
一 罰条
被告人榊原関係 刑法六〇条、法人税法一五九条一項
被告人茂字井関係 刑法六五条一項、六〇条、法人税法一五九条一項
二 刑種の選択
被告人両名 いずれも懲役刑選択
三 未決算入
被告人榊原関係 刑法二一条
四 執行猶予
被告人茂字井関係 刑法二五条一項
五 訴訟費用の負担
被告人茂字井関係 刑事訴訟法一八一条一項本文
(量刑の理由)
本件での脱税額は、単年度でありながら六億一三〇〇万円余と多額であり、近時の法人税法違反事件の中でも高額な方に属し、しかも、大港建設が本件後事実上倒産したこともあって、脱税にかかる本税の大半が未納の状態にあり、今後納税される見通しもない。
さらに、脱税のための所得秘匿工作の中心は、複数のダミー会社を本件取引に介在させて売上を除外し、あるいはB勘屋から入手した架空領収書を用いて架空の支払手数料を計上するというものであって、計画的かつ巧妙なものである。
続いて被告人らの個別的な事情を見ると、被告人榊原については、脱税に及んだ動機が、本件取引により得た多額の利益を税金として納めるのが惜しくなり、会社の運営のため裏金として留保しようとしたというもので、強い非難に値するものであり、自ら脱税を企図して、被告人茂字井の知識と智恵を借りて、脱税のための所得秘匿工作を積極的に進めるなどしており、本件脱税に関して主導的な地位にあり、脱税により得た金員を一部個人的な用途にも費消しており、その責任は非常に重い。
被告人茂字井については、自己の知識を使って所得秘匿工作の計画を立てて被告人榊原に教示し、自らの会社をダミーとして提供するなどし、また、大港建設における本件虚偽の税申告に関連して、ダミーとなった自己の会社においてもその虚偽内容に呼応した申告を行い、本件脱税のための工作について重要な役割を果たしており、被告人茂字井のこうした積極的といえる加担がなければ、本件脱税は実現しなかったといえるのであり、本件に加担したことにより多額の利益を受けていることも見逃し得ず、その責任は相当程度重いといわざるをえない。
一方、被告人らにとって有利な事情についてみると、被告人榊原については、査察後大港建設の経営が苦しくなりながらも、本件脱税分について納税しようと努めた態度が見られること、本件取引についての残代金が買主から支払われていないことが、本税等について未納となっている一因となっていること、長期間の勾留を通して脱税行為の重大性を十分自覚していると窺えること、現在では資産もなくなり、今後は妻の助力を得て一から出直して行きたいと述べていることなどが認められ、被告人茂字井については、本件に安易に関与したことについては十分反省していること、苦労して取得した会計士補の資格であるが、今では廃業届を出してその業務を棄て、今後は友人の会社に勤務し真面目に働く決意でいることなどが認められる。
以上の各被告人にとって有利不利な情状及びその他諸般の事情を考慮すると、被告人榊原についてはその責任は重大であって、懲役刑の実刑は免れない。しかし、罰金刑については、被告人榊原が脱税により留保した資金で個人名義で購入した資産も、換金して会社の運転資金に充てており、その資金のうち個人の用に費消したものは少なく、現在では個人的資産もほとんど存在しないことからすると、同被告人の更生及び一般予防のいずれの点からしても、将来支払える見込みのない多額の罰金刑を同被告人に科する必要はないと考える。したがって、被告人榊原には、懲役刑のみを科することとする。被告人茂字井については、その責任は決して軽いものではないが、会計士補としての業務に乗じ、その専門的知識を悪用したものとはいまだ認められないので、今回はその懲役刑の執行を猶予することとした。
(求刑 被告人榊原について懲役三年及び罰金二〇〇〇万円、被告人茂字井について懲役一年一〇月)
よって、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 松浦繁 裁判官 伊藤正髙 裁判官 渡邉英敬)
別紙1 修正損益計算書
<省略>
<省略>
別紙2 脱税額計算書
<省略>